Blenderでインスタンスオブジェクトを作成する方法を解説します。Mayaなどの3DCGソフトでの「インスタンス複製」のコマンドは、「リンク複製(Duplicate Linked)」に当たります。これは単体のオブジェクトをインスタンス化する場合に使用されます。複数のオブジェクトを複製する場合は「コレクションインスタンス」を行います。
インスタンス(Instance)とは
元のオブジェクトのコピーのことです。ただし、普通の複製(Duplicate Objects)とは違い、インスタンスは元のオブジェクトとリンクしています。つまり、元のオブジェクトを変更すると、インスタンスも自動で同じ変更が加えられます。これにより、同じ形のオブジェクトが膨大な数ある場合に、メモリの軽減や作業の効率化が期待できます。

リンクオブジェクトの作成方法
Mayaなどの3DCGソフトの「インスタンス複製」に当たる「リンク複製(Duplicate Linked)」を行います。
リンク複製とは?
リンク複製は、単体ののオブジェクトとデータ(メッシュやマテリアル)を共有する複製方法です。移動、回転、スケールは個別に変更できますが、メッシュの編集やマテリアルの編集はすべてのリンクされたオブジェクトに反映されます。
オブジェクトを選択(Select the object)

リンク複製したいオブジェクトを選択します。
リンク複製

メニューから「オブジェクト(Object)」 > 「リンク複製(Duplicate Linked)」
リンクの移動

リンク複製後のオブジェクトは普通の複製時と同様に、元のオブジェクトと同じ位置にあります。
マウスを動かすことで自由に視点移動できるので、リンク複製されたオブジェクトを好きな場所に移動します。
リンクオブジェクトの確認

移動したリンクオブジェクトは、元のオブジェクトとデータリンクされています。
元のオブジェクトを編集すると、リンクオブジェクトにもその編集が反映されます。

アウトライナ―を確認しましょう。
2つのオブジェクトのメッシュが同名であることを確認できます。
つまり2つのオブジェクトが同じメッシュを共有している状態です。
リンクオブジェクトを固有のメッシュにする方法
リンクされたオブジェクトを独立したメッシュ(ジオメトリ)に変換する方法です、リンクを切り、固有のメッシュ情報を持つようにします。
リンクオブジェクトの選択

固有メッシュ化したいリンクオブジェクトを選択します。
リンクの解除(シングルユーザー化)

オブジェクト(Object) > 関係(Relations) > シングルユーザー化(Make Single User) > オブジェクトとデータ(Object&Data)
シングルユーザー化の確認

この操作により、インスタンスやリンクされた複製が独立し、それぞれのオブジェクトが固有のメッシュを持つようになります。

アウトライナ―を確認しましょう。
2つのオブジェクトのメッシュの名前が別々になったことを確認できます。つまり2つのオブジェクトのリンクが解消された状態です。
コレクションのインスタンス化方法
Blenderのインスタンスとは?
Blenderのインスタンスは、コレクション全体をリンクしてシーンに配置します。コレクション内のすべてのオブジェクトがリンクされた状態で、1つのコレクションにまとめて管理されます。移動、回転、スケールはコレクション単位で行い、コレクション内のオブジェクトの情報を個別で編集することは出来ません。




メリットとしては、インスタンス作成後も元のコレクションの子階層の変更が可能です。
オブジェクトの追加や削除といった数に関わる編集も自由に行えるので、特に大規模なシーンで効果を発揮します。
新規コレクションの作成
元オブジェクトを格納する新規コレクションを作成します。
コレクションを作成する方法はいくつかあります。ここでは3Dビューポート上で作成する方法とアウトライナ―上で作成する方法の2つを併記します。お好きなほうをお試しください。
3Dビューポート上で作成する方法

元になるオブジェクトを選択した状態で
マウス右ボタンクリック>プルダウンメニューから「コレクションに移動(Move to Collection)」

プルダウンメニューから+新規コレクション(New Collection)をクリック

名前を付けて作成
アウトライナ―上で作成する方法

①アウトライナ―上でマウス右クリックします。
②プルダウンメニューから「新規コレクション(New Collection)」をクリックします。

作成したコレクションに元になるオブジェクトをドラッグ&ドロップして子階層化します。
元となるコレクションの確認

アウトライナ―上で、元オブジェクトのみが格納されている独立したコレクションが作成されたことを確認します。
コレクションをインスタンスする
既存のコレクションを元にインスタンスとしてシーンに追加します。ここでは3Dビューポート上で作成する方法とアウトライナ―上で作成する方法の2つを併記します。お好きなほうをお試しください。
3Dビューポート上で作成する方法

メニューから「追加(Add)」 > 「コレクション(Collection)」 > 「インスタンス(Instance)」
アウトライナ―上で作成する方法

①元のコレクションの上にカーソルを置きマウス右ボタンクリック
②プルダウンメニューから「シーンにインスタンス作成(Instance to Scene)」をクリック
インスタンス化されたコレクションの確認
新規作成されたコレクションをアウトライナ―上で確認します。インスタンスは元コレクションを子階層化した状態で作成されます。

インスタンスの移動
インスタンスは元オブジェクトと同じ位置に作成されます。通常のハンドル操作で任意の位置に移動します。
この際、移動しているのはオブジェクトではなくコレクションになります。

インスタンスの確認

元のコレクションのオブジェクトを編集モードで変化させ、インスタンスされたコレクションのオブジェクトを確認します。
コレクションインスタンスを固有メッシュに変換する
コレクションインスタンスを固有のメッシュに変換する場合、「インスタンスを実体化(Make Instances Real)」を用いてコレクションをリンクオブジェクトに変換した後、リンクオブジェクトを固有のメッシュに変換するという2段階を踏みます。
コレクションインスタンスを選択する

オブジェクトモードでリンクオブジェクト化したいコレクションインスタンスを選択します。
コレクションをリンクオブジェクトに変換

「オブジェクト(Object) 」 > 「適用(Apply)」 > 「インスタンスを実体化(Make Instances Real)」
リンクオブジェクトの確認

コレクションインスタンスが解消され、リンクオブジェクト(選択可能)の状態になりました。
リンクオブジェクトを固有のメッシュに変換
前述したリンクオブジェクトを固有のメッシュにする方法を用いて、リンクオブジェクトのリンクを切り、固有メッシュにします。