
BlenderでHDRI画像を環境ライトとして設定することで、シーンにリアルな照明効果を与えることができます。この記事では、無料でダウンロードできるHDRI画像を使用して、環境ライトを設定し、効果的にレンダリングする手順を紹介します。
HDRIとは?
HDRI(High Dynamic Range Imaging)とは、明るさと色の幅広い範囲を表現できる画像のことです。特に3Dレンダリングにおいて、HDRI画像は自然でリアルなライティングを再現するために使われます。HDRI画像は通常、360度のパノラマビューを使用し、写真撮影された場所と同じ空間を3D空間に疑似的に再現します。

天球画像のフォーマットは.HDRまたは.EXR形式
Blenderで使用する天球画像は、.HDRまたは.EXR形式である必要があります。これは、.JPEGや.PNG形式が8ビットの色深度しかサポートしないため、光の範囲が制限されるからです。HDRI形式の画像は32ビットの色深度をサポートしており、非常に明るい部分から暗い部分までの広いダイナミックレンジを持っています。これにより、よりリアルな光と影をシーンに追加できます。
Blenderが初期状態で用意しているHDRI画像
Blenderにはシェーダ―エディターの3Dビューで使用する為のHDRI画像が用意されています。こちらは2024年9月時点でCC0(著作権フリー)の画像が使われているため、レンダリング時にも使用できます。

BlenderのHDRI画像の場所

C:\Program Files\Blender Foundation\Blender 4.2\4.2\datafiles\studiolights\world
C:\Program Files\Blender Foundation\Blender ###\###\datafiles\studiolights\world
※###にお使いのBlenderのバージョンの数字を記入してご確認ください。
HDRI画像のダウンロード
HDRI画像が外部Webサイトからダウンロードすることが出来ます。フリーで提供されているHDRI画像をダウンロードできるサイトとして、HDRI free download
といったワードでウェブサイトを検索します。
例えば、以下のサイトがあります。
これらのサイトから高解像度のHDRI画像を選び、ダウンロードします。
HDRI画像の設定
Blenderを開く

Blenderを起動し、デフォルトのシーンを使用するか、新しいプロジェクトを作成します。
環境テクスチャの設定

「プロパティエディタ(Properties Editor)」の「ワールドタブ(World tab)」をクリックします。

①「カラー(Color)」の左にある「●(黄色の円)」をクリック
②「環境テクスチャ(Environment Texture)」を選択します
環境テクスチャの選択

①「開く(Open)」ボタンをクリック
②ダウンロードしたHDRI画像を選択します
③「画像を開く」をクリック
明るさの調整

ライトの明るさは「強さ」パラメーターで調節できます。
表示モードの設定と確認
ビューポートシェーディングの設定を「レンダープレビュー」モードに変更します。

これにより、HDRI画像がシーン全体にどのように影響を与えるかをリアルタイムで確認できます。
レンダリング設定

①プロパティエディタのレンダータブを選択します
②レンダーエンジン(Render Engine)をEeveeまたはCyclesに設定します。
③Cyclesエンジンを使用する場合、デバイスタブで「GPUコンピューティング(GPU Compute)」を選択してレンダリング時間を短縮できます。
レンダリングの実行

レンダーメニューから「画像をレンダリング(Render Image)」を選択してシーンをレンダリングします。

HDRI画像を非表示にする方法
シーンをレンダリングする際に、背景に天球画像を表示させたくない場合があります。その場合は以下の設定を行います。

①プロパティエディタの「レンダー」タブを開きます。
②「 フィルム(Film)」セクションを開きます。
③「透過(Transparent)」チェックボックスをオンにします。
これでレイトレース(Ray Visibility)設定のバックグラウンド処理が無効化されます。


この設定をすることで、レンダリング画像の背景にHDRIが映り込むことを防ぎ、アルファチャネルで背景が投下された画像を出力することができます。