Blenderには、独自のショートカットキーの配置があり、他の3Dソフトとは少し違っています。普段MayaやUnrealEngineを使っているユーザーにとってBlenderのショートカットキーは独特で、Blenderを敬遠する理由にもなっているようです。しかし、Blenderには業界互換のキーマップ(他のソフトに似た配置)が用意されていて、いつでも切り替えることができます。今回は「業界互換」キーマップへの変更方法を解説します。初期に設定しておくと便利なおすすめ設定もありますので併せてごらんください。
代表的な「業界互換」操作
おそらく下記の操作だけでも「業界互換」キーマップを導入する理由になるのではないでしょうか?
カメラ移動



トランスフォーメーション



Blender本来のショートカットキーが使えなくなるというデメリットがあります。書籍やネットなどで提供されている情報を元にショートカットキーを使う際はご注意ください。
インストール直後の設定ウィンドウでの手順
Blender 初回起動時(画面はversion4.2 LTEです)
Blenderを初めてインストールして起動すると、設定を行うウィンドウが表示されます。この画面で、言語や操作感にするための大まかな設定ができます。

キーマップ:業界互換(Industry Compatible)
「新規プリファレンスを保存」をクリックします。
プリファレンスからの変更手順
インストール直後に設定し忘れた場合や、後で変更したくなった場合でも、簡単に設定を変更できます。
プリファレンスを開く

Blenderの画面上部のメニューから「編集(Edit)」をクリックし
「プリファレンス…(Preferences…)」を選びます。これで、Blenderの設定画面が開きます。
キーマップの設定変更

①左側のメニューから「キーマップ(Keymap)」を選択します。
②現在のキーマップ設定が表示されます。画面上部の「Blender」をクリック
③ドロップダウンメニューから「業界互換(Industry Compatible)」を選びます
設定の保存

①
②「プリファレンスを保存(Save Preferences)」ボタンをクリックして変更を保存してください。
これで、次回からもこの設定でBlenderを使うことができます。
キーマップを「Blender」基本設定に戻す
キーマップを「Blender」基本設定に戻したい場合も、いつでも変更が可能です。

編集(Edit)> プリファレンス…(Preferences…) > キーマップ(Keymap)
ドロップダウンメニューから「Blender」を選びます。
プリファレンスおすすめ設定
「業界互換(Industry Compatible)」に変更することで、多くの操作が他の3Dソフトと似たようになりますが、さらに使いやすくするためにいくつかおすすめの設定を紹介します。
新規データ名称の英文字化

新しく作成されるオブジェクトやマテリアルの名前を英語化します。データをMayaやUnrealEngineにエクスポートする際の不具合を防ぎます。
①プリファレンスの「インターフェイス(Interface)」セクションをクリック
②「新規データ(New Data)」のチェックボックスをオフにします。
選択部分を中心に回転(Orbit Around Selection)

モデリングや編集作業をする際、選択したオブジェクトや部分を中心にカメラを回転させると、より効率的に作業ができます。
①プリファレンスの「視点の操作(Navigation)」セクションをクリック
②「☑選択部分を中心に回転(Orbit Around Selection)」をオンにします。
自動保存(Auto Save)

作業中に突然ソフトがクラッシュしたり、電源が落ちてしまった場合に備えて、自動保存(Auto Save)の機能があります。初期状態でオンです。保存インターバルも分単位で設定できるので初心者は短めの分数に設定しておくと良いでしょう。
その他のおすすめ設定
プリファレンス以外で初期に変更しておきたい、知っておくと便利な設定です。
統計(statictics)の表示
統計と言われるとあまりピンときませんが、オブジェクト、頂点、辺、面、三角形という構成要素の表示機能です。特に描画負荷を気にする作業の際には必要ですね。


裏面フェースの非表示
裏面フェースを非表示とすることで視認性を高めます。


起動ファイルを保存
プリファレンス以外の設定の保存は以下の方法で行います。
こうすることで、次回以降は保存した状態でBlenderを起動してくれます。

ファイル > デフォルト > 起動ファイルを保存
起動時のCubeオブジェクトを消した状態で起動することも出来ますし、好きなオブジェクトに変更することも出来ます。

まとめ
特にBlenderから3DCGを始める皆さんは必ずしも「業界互換」キーマップを導入する必要ありません。しかし今後MayaやUnrealEngine,Substance3D Painter等を触れる可能性のある人は意識を向けておくと良いかもしれません。
個人的に「業界互換(Industry Compatible)」はAutodesk系DCCツール利用者がスムーズにBlenderに移行できる手段と考えているので今後も情報を発信していきたい所存です。
Blenderを始めるにあたって、まずはキーマップの設定を自分に合ったものにすることが大切です。皆様もBlenderの設定を自分仕様にカスタマイズしてみてください。