AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関する意見募集の実施について
「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関する意見募集の実施について(意見募集要領)
という内容の所謂パブリックコメントの募集を文化庁著作権課が令和6年1月23日に公開しました。
「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関する意見募集の実施について
令和6年2月12日(月) 締め切られました
ページ内て「命令などの案」としてリンクされているAIと著作権に関する考え方について(素案)のPDFが非常に簡潔に現状の問題をまとめてくれています。

ゼミ生は読んでおいてくださいね。
今後のディスカッションでの下地になると思います。
これに関する、私の意見は以下の通りです。簡潔にまとめると非常に乱暴なので一つひとつ説明したいところですが、根幹はぶれておりませんので、備忘録として残しておきます。
投稿したコメント内容
1. AI生成物の著作権帰属について
AIを創作ツールとして使用する際、その生成物の著作権は生成者に帰属すべきです。これは音楽制作におけるサンプリング音源や3DCG制作におけるテクスチャ素材の利用と同様です。素材が著作権の範囲外である限り、生成者がその作品の著作権を保持するべきだと考えます。
2. 学習素材の著作権クリアランスについて
AIの学習素材は著作権を侵害してはなりません。学習モデルに著作物が含まれている場合、そのモデルの制作者と生成者は共同で著作権者への補償責任を負うべきです。
3. 著作権侵害の判断基準について
AIによる著作権侵害の判断は、既存の著作物との類似性に基づくべきですが、この判断は現状では裁判官の主観に依存しています。したがって、より客観的かつ定量的な基準に基づく判断への移行が望まれます。
4. 学習素材特定のための技術推進について
AIが使用する学習素材を特定するため、電子透かしのプロトコルや関連技術の開発が必要です。これにより、AI学習モデルにおける著作権侵害のリスクを低減できます。定量的な基準に基づく判断を可能にするための技術的な進歩が求められています。



「個人の意見」です。異論反論もぜひ
なぜ当ゼミでAIを扱うのか?
私自身のAI生成画像に対する今の立ち位置は、肯定派でも否定派でもなく中立派あるいは「仕方ない派」です。
正確には「避けて通れないのでやらざるを得ない」というのが半分、「これから何か面白いことが起きればいいな」が半分といったところでしょうか。
美大という組織からお給料をもらっている立場からすると、AIを制作で扱う私は「作家の血と汗と涙の結晶を盗作している」戦犯の一員です。
そんな中で、世の中は「興味深い」「ビジネスとして美味しい」という強い力に引っ張られて、AIは世を蹂躙していく。気が付けば全員戦犯で裁けないという有様も詮無い。乱暴な言い方をすると過去の3DCGはこのパターンに当てはまると思います(個人的には手描きアニメのディズニー映画の新作を楽しみに待っています)。私は3DCGを教える今の立場で出来る限りのことはしておきたいと考えます。
結論
現状のAICGゼミの立場としては、仕方ない流れの中で、より良い落としどころを学生さんたちと模索していくという考えです。勿論著作権は大事な要素で、包括的な仕組みを皆で作り上げていく必要があります。ゼミ生の皆さんも、現状から眼を逸らさず、よく考えて、自身の答えを探しながら制作に励んでください。

