事前に用意するもの
海外映画祭に応募する際、事前に用意するものは以下の通りです。
- 本編動画
- 予告編動画
- Youtubeアカウント
- ポスター画像
- 動画サムネイル画像
- 本編画像ファイル
- 字幕ファイル
- 監督画像
- 映画の詳細情報(後述)
一つずつ見ていきましょう。
内訳詳細
・本編動画

拙作”Departure”の本編動画をここに張りたいのですが…上映を控えている映画祭から配信を止められているので、もう少し待ってください。
作品の動画ファイルです。最重要です。フォーマットは一般的な.mp4をエンコードする際に使用するMPEG-4 H264形式でOKです。通常は映画祭応募サイトに直接アップロードするか、後述するYoutubeのような動画配信サイトにアップロードして、URL情報を提出します。
稀に.DCPフォーマットという、一般的な映画館のデジタル上映で使用する高品質な動画ファイルを要求される場合もありますが、「アカデミー賞予選」を冠するような権威ある映画祭の場合がほとんどで、君たち学生さんが応募する映画祭の動画ファイルは.mp4で十分です。また、.DCPフォーマットを要求する映画祭があったとしてもDCP-o-maticといった無料のエンコードソフトがあるので心配いりません。
予告編動画
本編を短くまとめたトレイラー(Trailer)と呼ばれる予告編動画です。「学生の映画祭で予告編!?」と意外に思われるかもしれませんが、高確率で要求されますし、「映画祭投稿サイト」でも提出するよう指示があります。通常1分程度と言われていますが、短編映画の場合本編5分とすると5分の1も見せることになるので、大体30秒あれば問題ないようです。予告編だけでおなか一杯にならない程度に、観客をワクワクさせてあげてください。こちらも.mp4でエンコードし、Youtubeなどの動画配信サイトにあげて、URLを提出します。



拙作”Departure”の予告編は37秒です(本編5分11秒)
Youtubeアカウント


映画祭応募の際には動画ファイルを「直接アップロードする方法」「ご自身のGoogleドライブなどにアップロードしてURLを伝える方法」「動画サイトにアップロードしてURLを伝える方法」の3つが一般的です。ここでは本編と予告編をアップロードするためのYoutubeのアカウントを作成します。本編は「限定公開」、予告編は「公開」のステータスにします。
ポスター画像


ポスター画像です。大判での出力に耐えうる300dpi以上の画素を要求される場合があります。といっても小規模の映画祭では大判で印刷して映画館に掲示する事は少なく、ウェブページに映画の画像情報として貼り付けたり、映画祭の目録で使用する場合が多いようです。特に難しく考える必要はありません。タイトルとスタッフの名前を記述して、作品のイメージが伝わるような画像情報をつくります。通常は印刷物の比率(1:1.414)で縦長で制作します。
作品タイトルが日本語の場合、英語タイトルに変更するか併記するなど、英語圏の人に分かりやすい状態にしてください。


映画祭で入選(Official Selection)や入賞(Winner)に選ばれると「ローレル」と呼ばれる月桂樹のデザインを施した画像ファイルが送られます。これを貼り付けてポスターを華やかにするのも楽しい作業です。



映画祭によって、凝ったデザインや映画祭の性格を反映するようなローレルがあるので、デザインの違いを見るだけでも面白いですよ。
動画サムネイル画像


YouTube動画や映画祭サイトの動画アップ欄で使用するサムネイル用の画像です。こちらは16:9の横長画像です。通常は1920 × 1080のHDサイズで作成するのが良いでしょう。サムネイル画像なので、再生ボタンを押すかを視聴者が決める重要な要素になります。作品の世界観を説明できるような画像を作成してください。
本編画像ファイル






動画本編の中で特に印象的なシーンを画像ファイルにします。作品を象徴するような画像を選んでください。
こちらも映画祭で必ずと言っていいほど要求されます。3枚程度要求されることが多いので多目に作っておくと良いです。そしてその中から映画祭側が気に入った画像を1枚使うと言うケースが多いです。
これは予告編にも言えることなのですがワクワク感を持続させるために、ネタバレを含む画像は使用しない方が良いとされています。



私は関係なくネタバレ画像も提出しましたが、映画祭側がネタバレ含まない画像を使用するケースがほとんどでした。
本編画像を使用することになるので、1920 × 1080のHDサイズでつくることになりますが、印刷物にも使用することが多いため、300dpi以上要求するケースが多いです。あらかじめ画像加工ソフトなのでアップスケールしておくことをお勧めします。
字幕(subtitle)ファイル
海外の映画祭の主要言語は英語です。したがって、日本語で作成された箇所は全て英訳する必要があります。音声に日本語を使用している場合は、英語の字幕をつけるわけですが、動画ファイルに直接字幕テロップを埋め込むハードコピー版と別途.srt言う拡張子のテキストファイルを添付する2種類があります。こちらは映画祭のルールによって異なりますので、応募の際は必ず確認して、該当するファイルを作成してください。もちろん英語以外の言語で字幕を要求する映画祭もありますので注意深く映画祭サイトの情報確認してください。



英語で字幕のことを「subtitle」サブタイトルといいます。日本語の「副題」とは意味が異なるので注意。
1度.srtファイルを作ってしまえば、後は翻訳サイトを使って英語以外にも変換できますので、フランス語版、イタリア語版なども作って多言語化しておくのもオススメです。
監督画像


ご自身の顔の写った画像ファイルです。映画祭に選ばれた場合は、パンフレットや映画祭サイトなどにも高確率で使われます。服装やメイク、ライティングも考えてかっこよく撮影してください。日本人は自撮りの文化があまりないので、恥ずかしく思うかもしれません。そんなあなたは写真画像を画像生成系AIのソフトを使って加工すると言うのも1つの個性の出し方です。最近は散見される手法なので認知されつつある手法とも言えます。いろいろ工夫してアピールしてみてください。
映画の詳細情報(後述)
テキストデータです。とても大事な要素です。そして、英語が絡む点で皆さんにとって1番ハードルが高く感じる部分かもしれません。こちらは次のページにて解説します。


まとめ
映画祭応募の際に必要なものをお伝えしました。ここに書かれたものが用意できれば、おそらくほとんどすべての映画祭への応募が可能です。数が多いので、リストを見ただけで気が遠くなってしまう人もいるかもしれませんが、最初から完璧なものを用意する必要はありません。海外の映画祭は数が多いです。応募を何回か経験する上で、「ここをこうしたらもっとうまくいくのでは?」といった感覚がつかめてくると思います。徐々に修正を加えながら良いものに仕上げていくつもりで、あまり肩肘張らずに楽しんで挑んでください。