海外の映画祭に応募しよう
頑張って作った作品を海外の映画祭に応募しましょう。海外の映画祭に応募することは、決して難しくなく、理がある行為です。勿論日本の映画祭を否定するつもりは全くなく、国内外問わず広く応募してもらいたいです。今回は敷居が高く思われている海外の映画祭に対し、漠とした可能性を蓋然性へと近づける為に、企画意図について説明します。
海外映画祭に応募する7つの理由
理由1:圧倒的な映画祭の開催件数
海外の映画祭に応募する理由は、映画祭の数が多いため、選択肢が広がることにあります。Amazon系の映画データベースサイトであるIMDbによると、2024年2月時点で11,009の映画祭が登録されています。これは日々変動するため、参考値として考えるべきですが、世界には数多くの映画祭が存在することが分かります。映画祭の規模も様々で、誰もが認知するアカデミー賞のような大規模な映画祭から、地元の小さな映画祭も多数あり、世代やジャンルごとに細分化されているので、ご自身の趣味趣向に沿った映画祭が必ず見つかるはずです。

ミュージックビデオ部門やVR映画部門など、日本ではあまり見られないジャンルの募集も海外では多数見つかります。
理由2:充実した「学生映画部門」
海外の映画祭には学生作品を募集する「学生映画部門」や学生映画専門の「学生映画祭」も数多く存在します。試しに上記IMDbのページで「Student」というワードを検索すると81件ヒットします。乱暴に言うと毎月約6回以上の応募チャンスがあると考えられます。このような機会を通じて、自分の作品を多くの人に見てもらうことで、評価の機会が増えるでしょう。
そして、一部の映画祭では「卒業制作作品部門」を設けており、世界中の大学生、大学院生の学生時代の学びの集大成を受け付けています。卒業制作で動画作品を作った(作っている、これから作る)学生さんにとって、大きなアピールの場となると考えます。また、競う相手や視聴者が日本人に限らないことも、大きな発見があり学びとなるはずです。



世界3大アニメーション映画祭の一つ「アヌシー国際アニメーション映画祭」にも卒業制作作品部門があります。この部門に応募できるのは当然卒業制作、修了制作の作品だけです。
理由3:上映と交流の機会
応募した映画が入選(Official Selection)するとその映画祭でご自身の映画を上映する機会を得ます。大画面大音響でご自身の映画を観るチャンスです。そして海外の映画祭であれば当然渡航のチャンスです。規模の整った映画祭の場合は宿泊費用を映画祭側が負担(割引)してくれますので、ご自身の興味がある国の映画祭にはぜひ積極的にチャレンジしてください。また、映画祭ではご自身の映画について壇上で語れる機会や、映画製作者、主催者、観客との交流(ネットワーキング)の機会が設けられており、同じ志を持つ仲間を増やすことが出来ます。もちろん、参加/不参加は自由ですが、若い皆さんであれば是非スマートフォン(翻訳アプリ)を片手に現地に足を運んでください。下記は2023年のバンクーバーアジア映画祭の模様(拙作”Departure”をOfficial Selectionに選んで頂きました)。



COVID19の影響を受け、映画祭をネット上で完結させる「オンライン映画祭」も近年増えてきました。ビデオチャットでのコミュニケーション等、独自の催しがあり、こちらも楽しい映画祭です。
理由4:フィードバックの機会
自身の作品を応募すれば当然評価されます。褒められると嬉しいですし、選に漏れたとしても、理由を考えたり、受賞したほかの人の作品を鑑賞することで、客観的に自身の作品を自己採点できる機会を得ます。また、映画祭によってはご自身の作品内容へのフィードバックを頂ける場合もあります。



「Feedback ANIMATION Film Festival」というオンライン映画祭では、拙作”Departure”の感想動画を作って頂きました。届いている部分に対する安心感や想定外の反応もあり大変勉強になりました。
「発信することで成長するのだ」と意識してください。
理由5:受賞歴
海外の映画祭での入選は、就職活動時の履歴書の受賞歴に記入することができ、面接に自信を持って臨むことができます。上記の通り海外では大小さまざまな映画祭が数多くあるので、小さな受賞でも履歴書に記載することで、大きな自信へとつながるはずです。
理由6:技術革新の恩恵
海外の映画祭に応募する際、英語がハードルになる人も多いと思います。しかし、近年の技術革新により、海外の映画祭への応募が以前よりもずっと簡単になりました。英語のコミュニケーションの壁をAIや翻訳サイトが解消してくれます。このように、言葉のハードルが低くなっている現在が、応募にとって絶好のチャンスかもしれません。


理由7:「映画祭応募サイト」の恩恵
海外には、映画祭応募をワンストップで行えるポータルサイト(略して「映画祭応募サイト」)が存在します。FilmFreeway、FestHome、ShortfilmDepotなどが有名で、これらのサイトを利用することで、世界中の映画祭に応募することが可能です。所定のフォームを満たしてしまえばボタン一つで応募が完了してしまうので、海外の映画祭への敷居が低くなった要因の一つです。特に複数の応募を考えている人には非常に便利なツールと言えます。


まとめ
海外の映画祭への応募は、幅広い選択肢があり、皆さんが思う以上にハードルが低くなったといえるでしょう。特に学生さんにとっては、自身の作品を多くの人に見てもらうことで、有益な機会と経験を提供します。ご自身の作品を世界に発信し、評価を受ける機会をぜひ活用してください。