🔰知識ゼロからの【Unreal Engine 5】＃2 シーケンサーで動画を作成する

2025-02-25

Unreal Engine 5の2回目です。今回はカメラが地形を移動する所謂ウォークスルー型の動画を作成します。Unreal Engine はゲームを制作するソフトですが、近年では映像制作においても広く一般に使われるようになりました。その強力な動画作成機能を使いこなす最初の一歩として、このページが役に立てれば幸いです。
※このページはバージョン5.2.1を使用しています。

シーケンサーとは

Unreal Engine内で（Adobe Premiere,AfterEffectsのような）カットシーンの作成や、映像編集が行える機能です、
カメラやアクターの制御のほかに、音の再生や、ブループリントの呼び出しなどもできるので、ゲームや映像制作は勿論のこと、インタラクティブコンテンツやメディアアートなどにも応用できる強力な機能です。

Contents

前回のレベルの読み込み

今回は続き物コンテンツとして、前回作成した草原のレベルを用います。

プロジェクトを読み込む

Unreal Engine のアイコンをクリックします。

Unreal Editorが起動します。

プロジェクトブラウザウィンドウが開きます。
前回保存したプロジェクトが表示されますので選択して開くかダブルクリックします。

プロジェクト情報が読み込まれます。

レベルを読み込む

プロジェクトが読み込まれました。次にレベルを読み込みます。

ファイル＞レベルを開く

前回保存したレベルを選択します。

レベルが読み込まれました。

コンテンツブラウザで新規フォルダを追加

今回は新規でアセット（Unreal Engine 内で使用できるパーツ全般のこと）を追加します。そこで、アセットを格納するフォルダをコンテンツブラウザから作成します。

コンテンツブラウザとは？

コンテンツブラウザは、Unreal Engine で特定のアセット（オブジェクトなどのパーツ）を追加、操作、管理するためのツールです。Windowsのエクスプローラーのような感覚で、プロジェクト内のアセットを確認、検索できます。そして必要なアセットをレベルに追加することが出来ます。

コンテンツドロワー

UnrealEngineにはコンテンツドロワーという、コンテンツブラウザと同じ機能をもつウィンドウがあります。

画面左下の「コンテンツドロワー」タブをクリックします。
画面下部からコンテンツドロワーが出てきます。

コンテンツブラウザとコンテンツドロワーの違い

特に機能的な違いはありません。コンテンツドロワーはコンテンツブラウザの簡易版と考えて良いです。タブが画面左上に常駐しておりアクセスしやすく、違う作業を行うと自動的にウィンドウが引っ込むのでビューポートを広く使えるのが特徴です。

新規フォルダを追加

コンテンツブラウザ左上の「＋追加」ボタンでプルダウンメニュー内「新規フォルダ」を選択します。

名前をMyAssetsに変更します。このフォルダに自分のデータを入れていきます。

名前の変更はショートカットキーF2ボタンでできます。

UnrealEngineプロジェクトのアセットの移動、消去は必ずコンテンツブラウザ内で行うようにしてください。Windowsのエクスプローラーでも同様のフォルダとファイルが確認できますが、エクスプローラーでの変更をUnrealEngine は引き継がないのでアセットが迷子になってしまい、最悪アセットを復旧できなくなります。

レベルシーケンスを追加

🎬（カチンコ）のアイコンをクリック　＞　レベルシーケンスを追加

追加する際のフォルダを聞かれます。先程作成した「MyAssets」フォルダーをダブルクリックします。

名前を聞かれるので”MyLevelSequence”に変更
”保存”をクリック

ビューポートに🎬（カチンコ）のアイコンが表示されました。
アウトライナーに”🎬MyLevelSequenc””がリストアップされました。
画面下部にシーケンサーウィンドウが表示されました。

左下のコンテンツドロワータブをクリックして「MyAssets」フォルダーに”MyLevelSequenc””があることを確認してください。

「アウトライナー＝机上」「コンテンツブラウザ＝引き出しの中身」
今回のアセット”MyLevelSequence”は、コンテンツブラウザで作成と同時にアウトライナー上にも出現しました。
しかし、アウトライナーとコンテンツブラウザは役割が異なります。
コンテンツブラウザはUnreal Engineのプロジェクト内で使えるアセットのリスト、
アウトライナーはレベルに表示されているアセットのリストです。
「アウトライナー＝ステージ」「コンテンツブラウザ＝控室」などいろいろなたとえが出来ると思います。
ご自身のなじみやすい感覚で置き換えて考えてください。

Cine Camera Actorを追加

シーケンサー内で使用するカメラ（Cine Camera Actor）を新規追加します。

シーケンサーウィンドウのカメラアイコンをクリックします。

アウトライナーにCine Camera Actorが新規追加されます。
ビューポートがCine Camera Actor視点に変更します。
シーケンサーウィンドウにCine Camera Actorが追加されます。

レイアウトと機能はAdobeAfterEffectsのタイムスライダーを想像してもらえばわかりやすいと思います。

カメラ移動アニメーションの追加

Cine Camera Actorにキーフレームアニメーションを追加することでカメラを動かします。

ビューポートの”パースペクティブ”をクリックしてCine Camera Actorを選択します（すでにチェックが入っている状態です）。

ビューポートでの景観を参考にAlt＋マウスボタンでカメラを操作して開始位置に移動します。

①フレーム位置が0000（開始フレーム）であることを確認します。
②Transform右側の●をクリック

カメラにキー（赤いドット）が打たれました。スタート位置が記憶されました。

次にタイムスライダーを0150（終了）フレームまでドラッグします。

ビューをAlt＋マウスボタンで操作して終了位置を決めます。

開始時と同様にTransformation右の●をクリック

再生ボタン（をクリックしてカメラアニメーションを確認します。

再生コントロールが有効な状態で、スペースキーで再生/停止、↑キーで最初のフレームに移動、←→キーで一コマが移動できます。

ライトアニメーションの追加

シーケンサーにアクターを登録

レベルに存在する既存のアセットをシーケンサーでアニメーションさせます。ここでは太陽光DirectionalLightの傾きを変更します。はじめに、DirectionalLightをシーケンサーに登録してアニメーションが可能な状態にします。

右上（レベル）のアウトライナのDirectionalLightをシーケンサーのアウトライナにドラッグ＆ドロップします。

シーケンサーのアウトライナにDirectionalLightが追加されました。

キーの追加

DirectionalLight右側の＋ボタンをクリックして現れたタブから”トランスフォーム”をクリックします。

▶ボタンをクリックするとTransform（位置情報）が追加されていることを確認できます。

カメラアニメーションの時と同様に0000フレームでキーを打ちます。

スライダーを0150に変更します。

▶Transform　▶回転　▶を順番にクリックします。ロール(rot:X)、ピッチ(rot:Y)、ヨー(rot:Z)の項目が現れます。
ピッチの値に0を入力します。

【Tips】太陽の方向を自由に変えるショートカット

[キーボード向かって右側のCtrlキー] + [lキー]　
を押しっぱなしにすると、以下のようなハンドルが表示されます。

押しっぱなしにしている状態でマウスを移動すると、太陽の方向を方向を自由に変更できます。
変更はリアルタイムで反映され、視覚的に分かりやすいのでお勧めです。

カーブの編集

ピッチを選択した状態のままツールバー右側のサインカーブのアイコンをクリックします。

シーケンサーカーブウィンドウが開きピッチのカーブが表示されます。この曲線カーブをリニア（直線）に変更します。

①　0000,0150フレームに打たれているキーのドットを選択します（ここではトグル選択を行っています）。
②　カーブの種類を選べるアイコンが推せる状態になるので”線形保管”（ショートカットキー4番）を選択します。

曲線が直線になりました。シーケンサーカーブウィンドウを閉じます。

シーケンサーの再生ボタンを押して確認します。

ゲームモードのデフォルトに設定されているDirectionalLightは他の大気表現と連動して、日光の傾きを再現しています。https://docs.unrealengine.com/4.26/ja/BuildingWorlds/FogEffects/SkyAtmosphere/
この自然光の再現機能はフォトリアルな世界を表現する上で強い味方になってくれます。

Movie Render Queueの追加

Movie Render Queueを使用して、アニメーションを動画にするために連番ファイルを描きだします。
プラグインを有効化するために一度再起動が必要になるので、このタイミングで保存を行いましょう。

Movie Render Queue（プラグイン）の読み込み

Unreal Engineで連番ファイルを描きだすためにはMovie Render Queueプラグインを読み込む必要があります。

編集＞プラグイン

①検索ウィンドウに”movie render queue”と入力します。
②プラグインMovie Render Queueに☑を入れます。
③”今すぐ再起動”

レンダリング

プラグイン読み込みが成功していれば「ムービーレンダーキュー」を選ぶことが出来ます。

ムービーレンダーキューウィンドウが表示されたら画面右上の
⁺レンダリング　をクリック
MyLevelSequencを選択します。

MyLevelSequencのレンダリング設定が追加されます。
設定欄のUnsaved Config＊をクリック

設定画面です。元から入っているjpgシーケンス（8ビット）は使わないので左の黄色いスイッチをクリックしてOFFにします。

画像素材は大量の連番ファイルで描きだすので容量が軽い.jpgファイルを使用したいところですが、画質が悪くなります。AfterEffectsなどのコンポジットの段階で補正を行ったり、動画に描きだす際に圧縮するので、理想的には画質の良い.exr形式、最低でも.png形式を使用します。

代わりに＋設定をクリックして.pngシーケンスを選択します。

＋設定には、レンダリング画像の画質を上げる「アンチエイリアス」「高解像度」といった様々な項目があります。今回は初心者対象ということで、混乱を避けるためにシンプルな状態でレンダリングを行います。

出力タブでレンダリング設定を行います。

Output Directory : 出力先のフォルダを選択します。
File Name Format : {sequence_name}はご自身のわかりやすい名前に変更してOKです。.{frame_number}は連番ファイルを作成する際必要になります。
Output Resolution : 通常はフルHDサイズ（1920：1080）のままでOK

今回はフレームを飛ばしたりフレーム数を変えたりといった特殊なことは行わないので、このまま”承諾”をクリックします。