
知識ゼロからの【Stable Diffusion Web UI 】第5回目です。今回は、画像を美しく鮮明な高解像度に変換することができる、便利ツールUltimate SD Upscaleです。Ultimate SD Upscaleの優れているポイント、インストール方法と使い方を、特に初心者の方が理解しやすいように丁寧にご説明します。
Ultimate SD Upscaleで画像を高解像度化する
Stable Diffusion Web UI で生成される画像は基本的には512×512程度と、とても小さな画像で、少々物足りない印象です。Hires.fixなどの、もともとある機能では元の画と内容が変わってしまい初心者には調整が難しい。そんな時におすすめな方法が今回ご紹介するUltimate SD Upscaleです。
Ultimate SD Upscaleは、Stable DiffusionWebUIで作った画像を、さらに高い解像度で美しく見せるための拡張機能です。
- 最大16倍まできれいに拡大:普通の方法では4倍までの拡大が限界ですが、このツールを使うと、16倍まで画像を大きくできます。
- エラーの心配が少ない:画像を大きくするときによくある「メモリ不足のエラー」が少なくなります。
- 時間がかからない:画像を大きくするのに、通常よりも速く処理できます。
- 画像の調整がしやすい:通常の高解像機能では画が大きく変化したり壊れたりしますが、調整次第で元画像を変えずに拡大することが可能です。
画像を小さなピースに分けて順番に生成を行い最終的に一つの大きな画像に縫い合わせるので、上記のようなメリットを受けることが出来ます。今回はこの中から特に4番目の元の画の雰囲気を残しながら高解像度画像を作成しディテールを上げる「アップスケーラー」としての使い方を紹介します。
簡単インストール方法
StableDiffusion Web UI (AUTOMATIC1111)の起動確認
Ultimate SD Upscaleを使い始める前に…まずは「StableDiffusion Web UI (AUTOMATIC1111)」をインストールする必要があります。


Ultimate SD Upscaleのインストール
WebUIが起動できたら、次のステップでUltimate SD Upscaleを追加しましょう。

- Web UIの「Extensions」タブを開きます。
- Install from URLをクリックします。

- 「Install from URL」を選択して、次のURLを入力します:
https://github.com/Coyote-A/ultimate-upscale-for-automatic1111.git
- 「Install」をクリックします

- 完了したら「Installed」タブで確認します。
- 「Apply and restart UI」ボタンを押して、設定を有効にします。
下準備:元になる画像を読み込み
今回はStableDiffusionWebUIで予め作成した画像を高解像度化します。作成した画像がPNG形式で保存されていればパラメーターの情報が画像内に記憶されています。
元画像の情報取得

- 「PNG Info」のタブをクリックします。
- Outputsフォルダなどから、生成された画像をドラッグ&ドロップして読み込ませます。
- parametersに画像が生成された時の情報が表示されます。
- Send to img2imgをクリックします。

自動的にimg2imgタブに画面が切り替わり、先ほどの画像とパラメーターが読み込まれました。つまり画像生成した際の状況が再現されました。
この状態で高解像度化を行うことで、元画像を生成した時と同じパラメーターでの生成を行える(元の画からの変更を抑えられる)ということです。
Denoising Strengthが大事!画像の再現度を変更します

Denoising Strength(ノイズ除去強度)言葉はピンときませんが大事なパラメーターで、画像の再現性を決める数値です。0に近づけるほど再現性があがり0.8以上になると画像を設定した意味がないくらいに再現性が下がります。
今回は元画像を尊重した高解像度化を行いたいので0.25という浅目の設定にしました。
Ultimate SD Upscaleの起動

画面下部にある「Script」をクリックして「Ultimate SD Upscale」を選択します。
各種設定のポイント
Ultimate SD Upscaleの詳細な設定画面を解説します。狙った通りの結果を得るために、以下の設定をチェックしてみましょう。

Target size type:
画像の大きさをどれくらいにするか設定できます。
Scale from Image sizeで最大16倍まで選べます。

Upscaler:
どの方法で画像をきれいにするか選べます。今回のアニメ調の画で試したところ4x-UltraSharp、4x-AnimeSharpと相性がよさそうでした。皆さんもご自身の画で相性を探ってみてください。

Type:
画像をどのように処理するかのタイプを選びます。LinearとChessがありChessのほうがクリアな印象です、

Tile width/height: :
Ultimate SD Upscaleは画像を小さなピースに分けて順番に生成を行い最後に一つの大きな画像に縫い合わせます。その小さなピースのサイズを指定します。

Mask blur:
画像のつなぎ目を自然に見せるためのぼかし具合を設定します。

Padding:
画像の周りにどれくらい余白を取るか決めます。
生成画像の確認
設定の入力が終わりました。[ Generate ]ボタンをクリックして画像を生成します。画像を小さなピースに分けて順番に生成を行いますので全て終わるまで待ちましょう。


生成された画像をAdobePhotoshopで縮小して、両方を比較できる状態にしました。元画像を大きく壊すことなく、ディテールが付加されているのが確認できます。拡大画像によくあるボケ感がなく、きれいな状態で高解像度に変換することが出来ました。描き込みを増やしたり、高解像度化の際に追加要素を足したりといった調整をすることで、さらに自分好みの追い込みも可能です。
まとめ
Ultimate SD Upscaleを使えば、初心者でも簡単に高解像度で美しい画像を作ることができます。この記事を参考にして、ぜひ高品質な画像作成にチャレンジしてみてください。画像を大きく、きれいに見せたいときに、Ultimate SD Upscaleはとても役立つツールですよ。